受益者負担の原則

日本ではいつまでも無料サービスが幅を利かせていますが、アメリカでは有料サービスが伸びてきています。大手の Tripod などを見る限り、値段はさくらインターネットとか XREA の方が安い。それでも有料サービスをためらうのが日本人。それを見透かして広告のおとなしい(あるいは広告なしの)無料サービスで会員の増大を図る各種ブログサービスなどがあり、勘違いを増幅しています。ユーザを増やすだけで利益が出るというシステムとその危うさを理解せず、無料+広告なしで万歳というところにばかり注目していると、足元をすくわれかねません。

私はあまり「アメリカでは〜」とかいいたくない(外国の事例の一面だけ見ているケースが少なくないという反省もありますし)けれども、人気サイトを維持するにはコストがかかる、それを誰が負担するのかということを、日本人はもっと考えた方がいいと思う。

ある人が何気なく作ったコンテンツが大人気になって、アクセスが集中したらアカウントが停止されてしまったとしましょう。ここでサーバ業者を恨んでどうするのか。最近流行りの「受益者負担の原則」からすれば、そのコンテンツのファンがお金を出し合って、作者と相談してしっかりしたサーバでコンテンツを再公開するのが筋でしょう。なぜ、そういう発想が全然出てこない人が多いのか。

サーバ業者自身が、この作品は素晴らしい、といってスポンサーになってくれればそれはそれでいいわけですけれども、せめてそういう説得をする気もなしに、他人の財布をいじめることには何の良心も痛めずに好き勝手なことをいう人が多すぎる。

九十九式は今回、独自ドメインをとったから、少なくとも年間1000円程度はお金がかかっているわけです。宮本さんははてなユーザだから、読者もはてなユーザなら送金は簡単です。

今回、いったい何人が、いくらくらい寄付した(あるいはしようと思った)でしょうか。

テキストサイトなんかにお金を払えるか、というならそれでもいい。でもそういう人が、もしもサーバ業者にだけ負担を求めるというのなら、ご意見を拝聴したい。ファンを自認するあなたさえ1円も出せないと思っているもののために、なぜサーバ業者が赤字覚悟で常軌を逸した回線使用料を負担しなければならないのか。ボランティアで商売やっていると思っているのか、と。

最近は、一過性の大アクセスで即アカウント停止という業者は減りました。たまのことなら大目に見よう、というわけです。これ以上の譲歩を引き出そうとするなら、サーバ業者にとってそれがどんな利益につながるというのか、相応の説明がなければおかしい。いいたいことはいうが金は出さないという人ばかりだとすれば、説得は難しいでしょう。せいぜい脅迫にしかならないだろうと思います。