このミステリーがすごい! 2004年版 国内編ベスト20

私は小説に関しては「このミス」と趣味があっているので、98年版以降、毎年買っている。それ以前は小遣いが月に500円程度だったから、本を買うことはなかった。図書館にはずいぶんお世話になった。全頁読んだ本(という縛りをかけると、ほとんど小説になってしまう)だけ数えても、あの頃は年に150冊くらい。1ページ読むのに1分かかる遅読派だったにしては、ずいぶん読んだものだ。今でも、本を読むにはけっこう時間がかかる。
さて、昔はペラペラの小冊子だった「このミス」も、97年版からはかなり内容も造本もしっかりしている。とくに2色刷りになってからは綺麗でいいですね。というわけで(?)2004年版のランキングを見る。海外編は明日にして、今日は国内編。
  1. 「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午
  2. 「終戦のローレライ」福井晴敏
  3. 「重力ピエロ」伊坂幸太郎
  4. 「第三の時効」横山秀夫
  5. 「グロテスク」桐野夏生
  6. 「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎
  7. 「クライマーズ・ハイ」横山秀夫
  8. 「月の扉」石持浅海
  9. 「流れ星と遊んだころ」連城三紀彦
  10. 「ワイルド・ソウル」垣根涼介
  11. 「ゲームの名は誘拐」東野圭吾
  12. 「「密室」傑作選」ミステリー文学資料館・編
  13. 「太平洋の薔薇」笹本稜平
  14. 「疾走」重松清
  15. 「七度狐」大倉崇裕(「疾走」と同点)
  16. 「GMO」服部真澄
  17. 「マルドゥック・スクランブル」冲方丁(「GMO」と同点)
  18. 「殺人の門」東野圭吾
  19. 「街の灯」北村薫(「殺人の門」と同点)
  20. 「ZOO」乙一
  21. 「陰摩羅鬼の瑕」京極夏彦(「ZOO」と同点)
  22. 「汚名」多島斗志之(「ZOO」と同点)
個人的に、アレッ? と思ったのが真保裕一「誘拐の果実」が見当たらないこと。2002年11月の発売で、文春のベスト2位になったから、今更……ということなのかもしれないけれど、久々に上位に来るかなあと思っていただけに、真保裕一ファンとしては残念。ただ、その代わりといっては何だけれども、東野圭吾が2冊ランクイン。これは嬉しかった。
歌野晶午は初ランクインにしていきなり奪首という快挙。新本格の古参作家なんですけれども、ここ数年、きてます。下馬評は高かったけれども、「本ミス」に続いての1位ということで、さすがに意外との声もあり。私は「終戦のローレライ」が1位にくると予想していたのだけれど、「葉桜の季節に君を想うということ」にはたいへん楽しませていただいたので文句なし。過去に「ミステリーズ」「奇術探偵曾我佳城全集」が1位をとってきた「このミス」らしい結果ではないかと思う。何だかんだいって、文春のベストテンとは一味違う。(追記:書店へ行ったら、12月20日付で「葉桜〜」が2刷に。とっくに増刷かかっていていいはずの傑作だと思うのに……)
といいつつ、私が本当に吃驚したのが「マルドゥック・スクランブル」のランクイン。うひゃー。全3巻、案外、読んでいるんですね。まあ、ふだんこの手の作品に手を出さない私が読んだくらいに、一部で話題になった作品ですけれども。書店で見つけられない人が多そうなので、Amazonにリンクしておきました。(他の作品は面倒なので省略→リンクしました)
あとは、伊坂幸太郎の受けがいいことに注目。「このミス」にランクインするのはハードカバーが多いんだけれども、「陽気なギャングが地球を回す」は新書版なので、値段も安いから小遣いの少ない方にもお勧め。今、読んでます。面白いです。